3 解決の方法

①  業者から委託勘定元帳及び証拠金勘定元帳を入手する。

これら帳簿に基づいて取引内容を分析します。
これにより、新規委託者保護義務違反の有無、過当売買、無意味な反復売買の禁止違反に該当するか否かが判断できます。
また自分がどのような経緯で取引を行ったのかを記憶喚起するのに役立ちます。

②  専門の弁護士に相談する。

商品先物取引の仕組みや業者の手法は専門の弁護士でないと理解するのが難しいので、商品先物取引の内容に精通し、案件を豊富に手掛けたことのある専門の弁護士に相談するのが得策です。

③  業者との会話内容を録音する。

業者が手仕舞いを拒否するようであれば、この内容を録音します。
また取引途中で断定的判断の提供を受けたり、虚偽ないし誤認させる説明を受けた場合、その内容を録音します。

④  証拠保全手続を利用する。

証拠保全手続とは、業者側が保管する資料で、改ざんないし隠滅のおそれがある物を、裁判所の力を借りて保全する手続です。
証拠保全は、裁判所に申立てを行い、裁判所の証拠保全決定を得て行われる手続なので、弁護士に委任して行うのが一般です。
証拠保全決定が認められると、裁判官、弁護士、事務官とが相手方業者に赴いて検証を実施し、その結果については検証調書に記載されます。

証拠保全手続は、相手方業者が証拠の改ざんないし隠滅のおそれがある場合だけでなく、相手方業者の手元にどの資料が残されているかを探る意味でも有効な方法です。

⑤  主務官庁等に監督権限などの発動を申立てる。

主務省(経済産業省、農林水産省)は、商品取引業者に対して監督権を有し、監督権を行使するために必要な措置(資料等の提出、立ち入り調査、業務停止命令など)を実施することができます。
また日本商品先物取引協会も会員に対して過怠金などの制裁を課すことができ、制裁を課す根拠となる規則違反などがあるか否かを調査する権限を有します。
顧客の取引に関して業者側の不正行為が存在し、にもかかわらず業者側が調査などに協力的でない場合、主務官庁等に監督権限の発動を求める、あるいは業者側に監督権限の発動の申立てを行う旨を通告することが有効です。

⑥  弁護士に委任して業者との示談交渉を開始する。

弁護士に内容証明郵便を作成してもらい、業者に送付する。
あるいは弁護士に相手方業者と連絡を取ってもらい、示談交渉を開始する。
ただし、現在は、損失補填の禁止との関係で、示談交渉だけで解決することが難しく、示談交渉で業者との話し合いがまとまっても、形式上、簡易裁判所での調停手続を利用することが多い。

⑦  第三者機関を利用して業者と話し合いを行う。

商品取引所法により、損失補填の例外として、事故確認を要さずに顧客に金銭を支払うことができる手続は、限定されている。
日商協のあっせん、弁護士会のあっせん・仲裁、簡易裁判所での調停などである。
したがってこれら手続を利用して業者との間で話し合いがまとまれば、被害金を支払ってもらうことができる。

⑧  裁判を提起する。

被害金額が多額に昇る場合や複雑な事情が絡む案件、業者側が示談や話し合いに不誠実な態度を示す場合、裁判所に訴訟を提起します。

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