説明義務とは、金融商品取引業者は投資者に対して、その金融商品の仕組みや取引方法、リスク等を十分に説明する義務があり、その義務を怠った場合、その損害は業者が負担すべきとするものです。

説明義務は1990年代のワラント取引被害をめぐる裁判例により形成され、定着してきました。
また金融商品販売法により、金融業者は「顧客が理解できる程度及び方法にて説明しなければならない」とされており、デリバティブ商品のような複雑な仕組みの商品の場合、より高度な説明義務が課されています

説明義務違反が認められた判例

株式

取引当時、74才の未亡人に対し、国内のIT関連株を勧誘した件で、証券会社は株価下落に転じた場合に大幅な損失を被る危険性があることの具体的な説明を怠ったとして、説明義務を認めた
(東京地裁平成15・5・14判決)

債券

EB債(株価連動債)の取引に関して、商品の仕組み及び具体的なリスクについて顧客が理解できる程度の説明を怠ったとして、説明義務違反を認めた
(大阪地裁平成16・5・28判決)

デリバティブ取引

金利スワップ取引を行った顧客(法人)に対して、証券会社が説明書に基づく説明とシュミレーション表を交付していたとしても、当該シュミレーション表における前提条件や、それが満たされない場合にどの程度の評価損が発生する可能性があるのかについて明確な言及がない等として、説明義務違反を認めた
(東京地裁平成21・3・31判決)

投資信託

投資信託の乗り換え売買に関して、そのメリット並びにデメリット及びリスクについて、顧客の属性を踏まえて、理解できる程度の説明を怠ったとして、説明義務違反を認めた
(大阪地裁平成18・4・26判決)