事情聴取期日では、関係者から30~40分から長くて1時間程度、あっせん委員会から、事実経過を聞かれる期日です。

裁判における証人尋問と同様に、原則として聞かれたことに対して簡潔明瞭に答えれば良いのですが、聞かれたことに対してだけ答えていたのではどうしても申立人が強く訴えたいことが上手く伝わらないことがあります。

また、事情聴取を受けて当人は答えることに集中しているので、周りがよく見せないことがあります。そのような場合、代理人のような専門家に同席してもらい、補佐してもらう必要があります。

あっせん委員も全ての内容が頭に入っているわけではありませんし、聞くべき点について聞き洩らしたり、当方が聞いてもらいたいと思う点について聞いてくれないこともあります。その場合、代理人にその点を指摘してもらうことができます。

また、関係者の答えが要領を得ないであっせん委員が理解できないこともありますので、そのような場合に上手く解説してフォローしてもらう必要もあります。このあっせん手続きにおける事情聴取期日もあっせん委員を説得するための場ですから、どのような話をするかが重要になります。

単に自然体で臨めば良い結果が得られるといった単純なものではありません。
あっせん委員を味方につけるためにはどうしたら良いかという観点からの戦略が必要です。

あっせん委員会は、あっせん委員(弁護士)と職員の人から構成されます。あっせん委員は、中立公平な立場の人から選任されます。職員の人は、証券業務や銀行業務に通じた方が選任されます。実際の事情聴取では、あっせん委員と職員の人を合わせて2~3人で行われます。

あっせん手続きにおける事情聴取は、主として、あっせん委員からの質問に当事者が答える形で進みます。

よくある質問事項

為替デリバティブ取引のあっせんで多い質問事項は以下の通りです。

1 会社の商流に関する質問(輸入があるのか、あるとすればどこの国のどういう会社からか、決済通貨は何か、輸入する品物は何か、直接輸入か商社経由か、為替変動が仕入れ価格に反映されるか、為替変動の影響を受ける仕入価格は全体のどれ位かなど)

2 デリバティブ取引の経験、知識に関する質問(他行で為替デリバティブ取引の経験があるか、具体的には何時頃でどのような内容かなど)

3 為替デリバティブ取引導入の経緯(どのような言い方で勧誘されたか、どのような説明があったか、内容やリスクについてどう理解したか、なぜ取引することにしたかなど)

4 取引後の経緯(購入した外貨をどうしていたか、輸入量と為替デリバティブ取引で購入した外貨の金額は見合っていたか、解約を巡ってトラブルがあったか、解約についてどのような説明があったかなど)

ただし、前記の質問事項に関しては、事前に書面である程度出ているので、どちらかというと確認という形で聞かれることが多いです。またどの程度質問するのかはあっせん委員にもよります。あっせん委員の先生は比較的ソフトな印象の方が多いように思いますが、当たりはずれはあります。あっせん委員の先生を替えてもらうことはできないので、運もあります(それは民事裁判で裁判官を替えることができず、どのような裁判官に当たるかは運によるのと同じです)。