まず、事情聴取期日に誰が出頭するのかを決める必要があります

申立人に代理人がついている場合、必ずしも当事者が出頭する必要はありませんが、私は、原則として当事者も出頭すべきと考えます。代理人(弁護士)では、どうしても生々しい話ができないからです。あっせん委員も人間ですから、同情してもらえた方が有利であることは明らかです。

例えば、中小企業の社長が高齢者であったり、どう見ても為替デリバティブ取引を理解できるような能力がなければ、話を聞いてもらうだけで心証を取ってもらうことが可能です。

事情聴取期日に臨む以上は、あっせん委員から当日聞かれるであろう内容について事前に打ち合わせを行うべきです。あっせん手続きにおける事情聴取は、短時間であっせん委員が心証を取りますので、聞かれたことに対してどう答えるかが非常に重要になります。銀行の担当者もあっせん手続に出頭して事情聴取を受ける際は、相当の時間をかけて綿密なリハーサルを行っていますから、 申立人側も十分な準備をする必要があります。

あっせんは裁判のように白黒決着をつける手続ではないとしても、駆け引きなどのゲーム的な要素はありますから、自然体で臨めば良い結果が出ると考えるのは大きな間違いです。あっせん委員を説得し、また相手方の銀行に不利な事案であることを分からせるための戦略が必要です