あっせん手続きも法律上の手続きですし、あっせん委員は法律の専門家である弁護士がなります

よって、あっせんは裁判とは異なると言っても、必然的にあっせん委員の心証形成は裁判における裁判官に近くなります。

裁判における事実認定は証拠に基づく認定が原理・原則です。あっせん手続きにおいても、自分の主張を言いっぱなしでは効果が薄いことは明らかです。つまり自分の主張を証拠である程度立証する必要がでてきます。

逆に言うと、証拠で立証できる、あるいはできそうな事柄に力点を置く必要が出てきます。よく銀行員から「●●と言われた。」「●●の説明がなかった。」という主張がなされますが、結局、銀行から全面否定されると、水掛け論になってしまいます。

したがってそのような論点に力点を置くより、客観的な資料で立証できそうな事項に力点を置くべきなのです。

例えば、輸入がないことや為替デリバティブ取引で購入させられる外貨の金額が実際の輸入金額を上回っている状態であることは、会社の帳簿で立証できるでしょうし、輸入があっても円建てで価格が決定されることは取引先からの注文書などで立証できるでしょう。また外国への送金が外貨でなく円貨であることは、預金通帳で立証できるでしょう。