このページでは、一般的な為替デリバティブの解決の流れについて、記載しています。
但し、2011年半ばから、解決方法に変化が生じています。
具体的には、金融ADRが減少し、訴訟が増加しています。
詳しくは、こちらを御覧下さい。解決方法(金融ADRから訴訟へ)

①支払いを停止する(出血を止める)

為替デリバティブ取引の履行によって、中小企業が本業で得た利益が銀行に吸い取られてしまう場合、中小企業が受けるダメージは相当大きなものになります。社員のモチベーションも下がるでしょうし、社長も毎日の為替レートに一喜一憂するようでは本業に専念できないでしょう。

このような場合は出血を止めるために支払いを一時止めた方が良いでしょう。

当事務所では約2年前から、為替デリバティブ取引に苦しむ中小企業100社以上から相談を受けてきました。

我々の経験から、為替デリバティブ取引の支払いに窮した中小企業が問題を解決するための有効な方法は、下記の通りです。

支払いを止めると融資が引き上げられるのではないかとか預金口座が凍結されるのではないかといった心配がありますが、実際にはありません。そのようなことをしたら中小企業が潰れてしまうことを銀行は分かっていますので、あえてそのような対応はしないのです。

金融円滑化法施行下では、借りたお金ですら元金の返済の猶予を受けられます。ましてや借りたお金でもないのに契約だからと真面目にこつこつ支払い続ける必要はないと考えます。支払いの停止の仕方とその後の対応方法について後は具体的に述べます。

②支払金額の減免、過去の損害の賠償を求めて、金融ADRを利用する

銀行には、法律上、損失補填の禁止という原則があります。
すなわち契約上顧客が支払うべき金額を銀行が負担するには、一定の手続きを経た上で一定の理由がない限り、認められないといったものです。

そのため、銀行が示談交渉で為替デリバティブ取引の支払い金額の減免に応じることはありえません。よって、為替デリバティブ取引の支払い金額の減免を求めるには、金融ADRを利用する必要があります。 金融ADRによる解決の詳細はこちら

③ 民事裁判を起こす

②で納得のいく結果が得られなかった場合や最初から話し合いではなく銀行との間で白黒決着をつけたい場合や、過去の損害の賠償まで求める場合に利用します。
民事訴訟による解決の詳細はこちら

④私的整理、私的再生の方法を利用する

②、③で支払金額が支払可能な範囲減免できなかった場合、あるいは事案の内容から減免が難しいと予想される場合に、私的整理、私的再生の方法(第二会社方式、会社分割、事業譲渡など)利用します。

⑤法的整理(民事再生、破産)を利用する

④を利用できない場合、④では上手くいかなかった場合に利用します。

私は、破産は他に取るべき方法がない場合の最後の手段だと考えます。

また破産するにしても一定の準備をしてから行うべきです。

どうか銀行には逆らえないとか、契約書に判子を付いたからどうにもならないと最初から諦めないで下さい。