証券会社とトラブルになった場合、まず相談窓口として出てくるのが「フィンマック」と呼ばれる「証券・金融商品あっせん相談センター」ではないかと思います。証券会社も、トラブルになった顧客に対し、「フィンマック」への相談を推薦しています。
しかしながら、「フィンマック」への相談が顧客にとってトラブル解決のための適切な方法と言えるのか、むしろ証券会社側が敷いたレールに乗せられているだけではないかといった疑問があります。
「フィンマック」は、あっせんセンター長等の上層部と相談係の職員の方から構成されていますが、大手証券会社であれば、専門部署の方があっせん手続きとは別に「フィンマック」の上層部の方々に対して、色々な意見等を伝えていますし、上層部が決定した方針に基づいて職員の方も動きますので、全体の運営において証券会社側の意向と無関係ではありません。
また、相談係の方は、弁護士等の法律の専門家ではないので、法律の専門家からすると、誤っていたり、ミスリーディングなアドバイスをしていることがあります。
それから、依頼者、相談者の方から、フィンマックの相談係の人から冷たくあしらわれたとか、自己責任なので証券会社に損害賠償請求するのは止めた方が良いと言われたということもよく聞きます。確かに、顧客の自己責任が原因で証券会社に責任追及できない案件もありますが、フィンマックの相談係の方から言われたことが絶対に正しいと考える必要はありません。
また、相談係の人から、「弁護士を付ける必要はない」とか「弁護士を付けると逆に不利になる」と言われたというコメントもよく聞きます。しかしながら、相手の証券会社は専門部署の人や専門性の高い弁護士が出てきて、あっせん委員も弁護士である中、法律知識やこの種の経験が全くない素人である顧客だけでうまく対応できるとはとても思えませんし、そもそも弁護士を付けると逆に不利になる手続が適切な手続きだとはとても思えません。
あっせん手続きは、あっせん委員を務める非常勤の弁護士の方とフィンマックの相談係の職員の方がペアを組んで対応します。顧客側に親身になって対応してくれるあっせん委員の先生や相談係の職員の方も全くいないわけではありませんが、相手が大手証券会社となると、「あっせんにはなじまない」といった意味不明の対応をされたり、証券会社が保有する重要書類の提出を求めても「相手方は提出しないと言っているのでこれ以上はできない。あとは訴訟でやってくれ」等と言われ、1回目で不調で終わってしまうことがあります。
よって、相手の証券会社に大手証券会社のような力がなく、あっせん手続きにも慣れていないような場合、フィンマックでのあっせん手続きを利用して解決できる可能性がありますが、大手証券会社が相手の場合、相当ハードルは高いと考えます。