デリバティブ取引、為替デリバティブ、通貨オプションによる被害の相談を多数お受けしています。本杉法律事務所(東京)

通貨オプション取引の最近の動向


中小企業の通貨オプション取引被害について、金融庁はようやく事態の重大性を認識し、銀行に対する監督・規制の強化に乗り出しました。
金融庁は、平成22年1月20日、①「主要行等向けの総合的な監督指針」②「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」③「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の改正案を公表し、1か月のパブリックコメント後に施行する予定となっています。
①は都銀向け、②は地銀向け、③は主に証券会社向けの監督指針ですが、いずれも通貨オプション取引被害を意識した改正となっています。
なお金融庁の監督指針は、金融商品取引法及び府令の解釈の指針となり、監督・検査の対象となり、違反が認められれば行政処分発動の根拠となる重要なものです。

まず監督指針によると、対象に「デリバティブ取引」を追加し、通貨オプション取引も監督指針の対象となることを明確化しています。そして商品内容やリスクについて例示などを入れた分かり易い書面を交付して説明しなければならないとし、具体的に以下の点を定めています。
  1. 過去のデータに基づき為替レートの最悪のシナリオを想定した想定最大損失額を顧客が理解できるように説明する。また為替レートが想定を超えて変動した場合に損失が拡大する可能性があることを顧客が理解できるように説明する。
  2. 顧客が許容できる損失額を確認し、最悪のシナリオに至らない場合でも許容額を超える損失を被る可能性がある場合、顧客がこれを理解できるように説明する。
  3. 為替レートの状況によって、顧客の経営または財務状況に重大な影響が生じる可能性があることを顧客が理解できるように説明する。
  4. 中途解約ができない場合、そのことを顧客が理解できるように説明する。
  5. 中途解約すると解約損害金が発生するには、その旨と解約損害金の内容(最悪のシナリオを想定した解約清算金の試算額及びその試算額を超える額となる可能性)を顧客が理解できるように説明する。
  6. 銀行取引約定書等に定める期限の利益喪失事由に該当すると、通貨オプション取引も期限の利益を喪失し、解約損害金の支払義務が生じることを顧客が理解できるように説明する。
  7. 顧客が許容できる解約損害金の額を確認し、最悪のシナリオに至らなくても許容額を超える損失の可能性がある場合、これを顧客が理解できるように説明する。
  8. ヘッジ目的の場合、今後の事業縮小等を考慮して、契約終了までヘッジ目的が有効に機能することを確認する。
  9. 以上の点について説明を受けたことを顧客に確認し、書面に残す。
  10. 国内の業者から輸入物を仕入れる場合は、不招請勧誘禁止の例外に該当しない。
  11. 融資取引に影響を及ぼすのではないかという懸念を解消するための説明を行う。
  12. 契約締結後、顧客の業務内容及び財務状況を踏まえ、実需に応じたヘッジの有効性を確認し、適切なフォローをする。
  13. 顧客の要請があれば、随時、時価評価及び解約清算金の額を知らせる。
  14. オーナー経営の中小企業の場合、契約締結意思の確認は、形式的な権限者(例えば経理部長など)の確認では不十分であり、取締役会等での意思決定か確認することが重要である。
  15. 苦情処理体制を充実、強化する。

監督指針は、通貨オプション取引被害に苦しんでいる中小企業の救済を目的としたものではありません。
しかしながら、現在の被害の実態に鑑みた改正であり、かつ金融庁の金融商品取引法等に関する解釈の指針を定めたものなので、継続中のあっせん、調停、訴訟における第三者機関の判断に少なからず影響を与えるものと考えます。
すなわち適合性原則違反、説明義務違反、事後的なアフターフォロー義務違反を判断する際の考慮の対象になると考えます。




  「相談から解決の流れ」はこちら
 他の弁護士に依頼されている場合はこちら(セカンドオピニオン)