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2015年1月15日のスイスフランショックについて

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2015年1月15日の夕方、それまでスイス中央銀行が対ユーロの無制限為替介入をしていたのを突然撤廃いたしました(スイスフランショック)。それによって、日本でもユーロ/スイスフランのFX取引、FXオプション取引を行っていた多数の顧客に非常に多額な損失が発生しています。平成21年の金融商品取引業等に関する内閣府令(以下「金商業府令」という)改正により、FX取引ではロスカットルールの設定及び整備が義務付けられました。そして、ロスカットルールによれば、概ね証拠金の半分程度の損失で抑えられるはずであるにもかかわらず、証拠金の数倍を超える大きな損失が発生しています。

なぜ今回のスイスフランショックでは、ロスカットルールがあるにもかかわらず、このような極めて大きな損失が発生しているのか、その点について業者側に責任がないのか論じます。また、一部、業者は一旦成立させた約定を取り消して別の約定価格でロスカットを成立させています。その点についても業者側に問題がないのかを論じます。

 


顧客との間で設定したロスカット水準(例えば証拠金維持率が50%割れが発生したら強制手仕舞い)に達しても、その水準どおりでロスカットが実行されるものではなく、実際に発生する損失金額がロスカット水準どおりにはならない(このことを「スリッページ」という)ことは業界慣行として認められています。しかしながら、そのようなスリッページは無制限に認められるものではなく、これを合理的な範囲に制限するのが当事者の合理的な意思に適うと解されています(東京地裁平成25年10月16日判決)。
 
そしてFX取引が一般個人投資家層に大きく広がっていることを受けて、顧客保護の見地から平成21年「金商業府令」が改正され、ロスカットルールの整備が業者側に法的に義務付けられました。なお前記東京地裁判決は平成16年の取引であり、「金商業府令」改正後の今回の取引の方がより業者側に責任が重いと考えられます。そして「金商業府令」によれば、業者側は顧客の損失が証拠金を上回ることがないようなロスカット水準を定める義務を負い、かつ顧客のポジションを適切に把握し、水準に達したら例外なくロスカットを実行する義務を負います。また、ロスカットが行われなかった場合に顧客に発生する損失について適切な説明を行われなければならないと定めています。
 
しかしながら、スイスフランショックにも当てはまるのは、今回の取引では、業者側が設定したロスカット水準と大きく乖離した約定値でロスカットが行われています。この点、業者側は、FX取引のインターバンク市場で約定が成立しなかったからとか、カバー先との間で適切な約定値の配信ができなかったから等と説明していますが、抽象的な説明だけでは不十分と考えます。これだけ大きな乖離がある以上、業者側の方で合理的な範囲内での乖離であることについて立証責任があると考えるべきです。
 
また今回のスイスフランショックでもあてはまるのが、業者側の取引説明書を見ても、取引上の損失金額について「証拠金を上回る損失が発生するおそれがあります」とあるだけで、証拠金の数倍にも及ぶ多額の損失発生の可能性があることを指摘したものではありません。取引上の「リスク」を説明したと言えるためには、抽象的なリスク説明では不十分であり、どの程度の損失金額に及ぶ可能性があるのかを説明する必要があります(いわゆる「想定最大損失」)。この意味でも、業者側のリスク説明は今回の取引に関して不十分であったと言えるのではないかと考えます。
 
また、一部業者は、一旦成立したロスカットを事後取り消して、新たに顧客側に不利な約定価格でロスカットさせている例も見られます。しかしながら、一旦、業者側が売買契約を成立させた以上、それを取り消して新たに売買契約を成立させるには相応の根拠(法的な根拠と実質的な合理性)を示す必要があります。それすらも顧客に示すことなく前記のような処理を実行することは問題だと考えます。

 

某FX業者のコメント

今回のスイスフランショックについて某大手FX業者がホームページ上にコメントを載せております。その内容が大変参考になりますので、以下ご紹介します。

 

今回のスイスフランショックによって、ロスカットルールが完全に機能せず、多くの投資家に証拠金以上の多額の損失が発生した原因として、多くのFX業者が①価格配信停止、②注文受注の停止、さらには③異常なワイドスプレッドの提供といった事態が生じたことにあるとしています。そして、①と②はFX業者がリスクを受けること自体を拒否したものであり、③は自社のリスクを顧客の損失に転嫁するものとしています。

 

そして、FX業者がマーケットの急変時において、取引価格の配信を停止する裏には大きく2つの要因があるとしています。
一定以上の変動を見せるマーケット環境下においては、カバーディールによる収益化は困難なため、自社のシステム上、あらかじめ自動で取引価格の配信をストップすることを設定していた場合
担当ディーラーが自らのインセンティブのため、収益の最大化(損失によるインセンティブの減少を避けるため)、リスク管理の名のもとに取引価格の配信を止めた場合

 

そして、新規注文の受付拒否は業者の判断次第であるが、既存ポジションの決済(ロスカット)機会の提供拒否が個人投資家保護の観点からは問題があり、金商法の理念からの逸脱が見てとれるとしています。

 

某大手FX業者のコメントにもあるとおり、既存ポジションの決済がFX業者側の都合に左右されることは顧客にとって極めて大きな意味を持ちます。FX業者は金融取引業者として公益性を有し、金融市場の公正性及び顧客保護の見地から制約を受ける存在であることを考えると、相場の急変に伴うやむを得ない措置というだけでは理由にならないと考えます。


ロスカット・ルール等について金融庁が公表している考え方

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1 はじめに

金融庁は,ロスカットやスリッページ,約定拒否等に対する考え方を公表しています。その中には,今般のスイスフラン騒動について考察する際にも有用なものが含まれていますので,ここで一部をご紹介いたします(なお,下線は,読者の便宜のために当法律事務所で付加したものです)。

 

2 公表されている金融庁の考え方とは

金融庁は,FX取引に関して,ロスカット・ルールの整備・遵守を義務付けるため,平成21年7月,金融商品取引業に関する内閣府令及び金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針(以下,それぞれ「府令」,「ガイドライン」といいます)をそれぞれ一部改正しています。

 

この改正の際に,金融庁は,広く一般に意見を募集し(パブリックコメント),その寄せられたコメントに対する金融庁の考え方を,同庁のホームページで公表しています。
・府令について
・ガイドラインについて
また,金融庁は,平成25年8月,スリッページについてガイドラインを改正し,その際に寄せられたコメントやそれに対する金融庁の考え方を公表しています。
 

3 ロスカットが予定どおり行われなかった場合の損失についての説明について

(「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方【監督指針】【別紙1】No.33」)
 
ガイドライン Ⅳ-3-3-2 勧誘・説明態勢
(3)店頭金融先物取引業者の説明責任に係る留意事項
⑦ ロスカット取引
通貨関連店頭デリバティブ取引等を行う場合には、ロスカット取引(金商業等府令第123 条第1項第21 号の2に規定する取引をいう。以下同じ。)に関する取決めが設けられていること及びその内容について、適切な説明を行っているか。また、ロスカット取引が予定どおり行われなかった場合の損失のおそれ等について、適切な説明を行っているか。

寄せられたコメントの概要 金融庁の考え方

ロスカットが予定どおりに行われなかった頻度やその程度を、スリッページの頻度及び程度と併せて、具体的かつ詳細に摘示・説明されているか、顧客に誤解を生じさせないように記載・説明されているかという観点から監督をすることを強調して記載するべきである。



 

業者は、ご指摘の点を含め、顧客に誤解を生じさせないような説明や表示を行うことが求められるものと考えられます。こうした観点から、今回の改正においては、「ロスカット取引が予定どおり行われなかった場合の損失のおそれ等について、適切な説明を行っているか」、「顧客が注文時に指定したレートと実際に約定するレートとの相違(スリッページ)が生じ、広告等で表示するよりも高いスプレッドで取引を行うこととなるおそれ」といった点を、監督上の着眼点として明確化しています。

 

4 ロスカット取引を行うための業者が整備すべき管理体制について

(「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方【監督指針】【別紙1】No.45」)
 
ガイドライン Ⅳ-3-3-4
(4)ロスカット取引に係る留意事項
① 顧客の損失が、顧客が預託する証拠金を上回ることがないように、価格変動リスクや流動性リスク等を勘案してロスカット取引を実行する水準を定めているか。
② ロスカット取引に関する取決めを明確に定めた社内規程等を策定し、顧客との契約に反映しているか。
③ 取引時間中の各時点における顧客のポジションを適切に把握し、上記①の水準に抵触した場合には、例外なくロスカット取引を実行しているか。
④ ロスカット取引を実行した状況を、定期的に又は必要に応じて随時に、取締役会等に報告しているか。
 
寄せられたコメントの概要 金融庁の考え方

1998年10月の米LCTM破綻、2001年の9.11テロ、2007年8月のサブプライムローン問題、2008年10月の米大手金融保険企業の経営危機等、様々な理由からロスカット取引を実行できなかったケースが散見される。この場合、市場内における特有の事情を理由とするロスカット不能であっても、業者側がその責任を果たしていないとみなされるのか。また、上記のケースでは、ロスカット不能に陥った事例として、特に南アフリカランドやトルコリラといった高金利低流動性通貨が目立つが、これらの通貨は一部の業者により、高い金利差を宣伝して盛んに勧誘されていたものである。市場の動向によっては、これらの通貨ペアが再びロスカット不能に陥ることが十分に予想されるが、こうした可能性に対する取引規制並びに業者側の勧誘体制に関する当局の見解を確認したい。

個別事例ごとに実態に即して実質的に判断されるべきものですが、相場急変時等においてロスカット取引が想定通りに約定しないことをもって、直ちに、業者の責任が問われるものではないと考えられます。

一方、業者においては、そうした場合でも顧客の証拠金を上回る損失が発生しないようにロスカットルールを設定することを含め、ロスカット取引を行うために十分な管理体制を整備することが必要と考えられます。
 なお、ロスカット取引が機能しない場合も想定した規制として、本年5月29日に証拠金率規制の導入にかかる内閣府令改正案を公表しております。
 
 

5 約定拒否について

(コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方No.2)
 
寄せられたコメントの概要 金融庁の考え方
FX 取引の約定に関して、以下のような問題事例があるので、適正に対処してほしい。
 
・注文時に数秒の処理時間を要し、意に反したレートで約定(仮に判定の難しい場合又は時間を要する際は、注文を失効させるべきである)。
・通信エラーなどの名目で約定を拒否。色々な名目で約定拒否が行えるので規制が必要である(例えば、業者に不利な約定がなされそうな場合にあからさまに約定を拒否すると問題があるので、通信エラーという名目で約定を拒否する。既に発注済みなので「通信エラー」や「インターバンクからのレート配信が停止しているため」等の理由で約定拒否となることはありえない)。
・逆指値等の予約注文を発注済みにも関わらず無効やキャンセル(失効)とする。逆指値は、投資家にとって損失を抑えるための重要な注文であり、約定拒否は許されるべきではない。
合理的な理由なく約定を拒否する等の本改正の潜脱的な行為に対しては、金融庁として厳正に対処してまいります。













 
 

 

 

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